この楽器は、名古屋の大須(現 名古屋市中区)に住み、幼い時から、音楽的才能と物を創り出す才能を持ち合わせていた森田吾郎によって作られた楽器です。

日本には、古くから一弦琴や二弦琴があり、神社の祭事で使われていましたが、音を調整するための「指押さえフレーズ」が無いため、一般的には演奏の難しい楽器でした。

森田吾郎は一弦琴や明笛の演奏者ですが、欧州の各地を演奏旅行していた時に出合ったタイプライターのメカニズムに注目し、帰国後、当時流行の兆しを見せていた二弦琴と組み合わせることを思いつき、弦には金属(従来の日本の楽器は絹糸が一般的)を用いた、安価で、弾き易い琴を創り上げました。

それは、ピアノの鍵盤装置を応用した長さ70センチ巾15センチの扁平な箱形で、タイプライターそっくりのキーを左手で押さえ、ピックと呼ぶ爪で、弦の右端を弾くと音が出るようにしたものです。

和音は出ませんが、金属弦特有の、もの悲しい短音の旋律が当時の人の心を引き付けました。

この琴を、「大正琴」と名付けて実用新案の出願をするとともに、全国で一斉に発売したのが大正元年9月9日で、丁度その日が重陽の節句だったことから、当初は「菊琴」と呼んだのですが、何時とはなく「大正琴」(タイショウコト、タイショウキン)の呼び名が一般的に定着しました。

発売して間もなく、博覧会で天覧の栄に浴し、陛下も大正琴をお買いあげになられたことによって一躍全国的に有名となりましたが、この事は、大正3年10月2日付の名古屋新聞に「賜天覧、御買上ノ光栄ヲ蒙ル。大正琴………ハ幸福ナル哉」との記事が、写真入りで掲載されています。 




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